ガメラ Wiki

このウィキでは、執筆者や管理者を募集しています。管理者ご希望の方は、スタッフまでお声かけください。
一緒にガイドラインを作成してくれる方募集します。

もっと見る

ガメラ Wiki

ガメラのデザイン元、およびモチーフは「ワニガメ」、または「カミツキガメ」とまことしやかに言われているが、それは**誤り**である。 デザインのモチーフおよびモデルは諸説あり、実際には(亀としての)**明確なモチーフ元は不明である。**

判明しているのは、 「亀をモチーフとしたのは、当時の永田雅一大映社長の意見」 「様々な亀をモチーフに取り入れてデザインされたらしい」 という点である。

湯浅憲明監督によると、当時の旧大映社長・永田雅一氏が、乗っていた飛行機から見下ろした島の形が『(巨大な)亀の甲羅』に似ていたことから、「大映の怪獣は亀をモチーフにする」と決定された、との事。 ただし、湯浅氏は後に、脚本担当の「高橋二三のアイディアだろう」とも言っている。

一方、その高橋氏の方は「永田社長が『亀の怪獣を飛ばせ!』と指示を出したと聞いた」と語っている。

その他に、 -大映東京撮影所近くの神社にいた、女性が参拝すると姿を見せる「スケベガメ」という愛称の亀。 -企画者の斉藤米二郎によると、「銀座のキャバレーで長崎出身のホステスが話してくれた『**長崎では海水浴していると、くるくる回りながら女の子に寄ってくるスケベな亀がいる**』という逸話を基にした」 -ピー・プロダクション社長のうしおそうじが、1962年(昭和37年)に企画した特撮テレビ番組**『STOPシリーズ』のデモフィルムに登場する巨大な亀。この大亀は、手足を引っ込め、火を噴きだして空を飛ぶという、まさにガメラそのもの。うしおは後年「大映にもこのデモフィルムを見せたから、どう考えてもガメラはこれを参考にしたと思う」と語っている(ただし、この件についてうしおが築地米三郎に問いただしたところ、「いや断じて違う、あれはジュニア(永田秀雅専務)のアイディアだ」と返答されたという)。 ……と、亀モチーフの理由は諸説あり、情報が錯綜している。 ともかく、結果的に(製作中止になったネズラに続く)初の大映怪獣は、亀モチーフに決定された。

亀モチーフが決定してからデザイン画が描かれるが、デザインしたのは大映美術スタッフの、八木正夫・井上章の両氏。 その没デザインの中には、 「手足が無くムカデのように這うガメラ」 「テントウムシのような水玉模様のガメラ」 などもあったという。 当時の資料や初期デザインなどでは、『アオウミガメがモチーフ』と記載されているものはあるが、**ワニガメ、もしくはカミツキガメを明確にモチーフとして書かれたデザイン画は現時点では公表されておらず、存在していない。 また、ガメラとワニガメを比較しても、**似ている点はほとんどない。 (上記の「容姿の変容」も参照)。

ワニガメの意匠はゼロではないにしろ、確実に言えるのは「ガメラのデザインは、様々な亀類のデザインを取り入れたもの」であり、特定の亀をモチーフにしているわけではない。 ワニガメからも一部デザインを取り入れていると推測できるが、明確にワニガメをモデルにしていると記載された資料や証言は、現時点では出ていない。 よって「ガメラはワニガメをモデル・モチーフにした」というのは誤りである。

なお、公開時の昭和40年当時、当時の日本の子供たちにとって身近な亀は、良く飼われていたミドリガメやイシガメ(ゼニガメ)**などであった。また、大型の亀の有名どころはウミガメの類の他、ゾウガメのようなリクガメであり、ワニガメの認知度はほとんどなかった。 ガメラ劇中でも、作品によっては**『ガメラはミドリガメやイシガメが変化した存在』と思わせる描写もあり、『骨格がアオウミガメにそっくり』という台詞もあった。

余談だが、ガメラは「子供の味方」という特徴を有しているが、これは当時の日本の子供達が、飼育や図鑑などでカメに親しんでいる事にも大いに関係している。 上記劇中の描写やセリフから、「子供達が親しんでいるカメとガメラとを同一視させる」狙いもあったと推測される。 実際、当時の大映社長の永田氏は、 「ガメラは哀愁がないといけない」 「子供たちが観て『怪獣がかわいそうだ』とか哀愁を感じないといけない、子供たちの共感を得ないとヒットしない」 と主張していた。 こう言った狙いがあったならば、当時において**マイナーなワニガメをガメラに用いる理由がない**。むしろ、**身近かつ知名度の高いカメ類をモチーフにする方が自然**である。

ワニガメがガメラのモチーフという言説が流れ始めたのは、近年(2010年頃)からであり、外来種問題や様々な番組・媒体などでワニガメが有名になってからの事である。ガメラのワニガメモチーフ説は、ここ数年の間に何者かが述べた根拠のない憶測が、そのまま定着してしまった事が原因と推測される。

※ただし、2015年版のガメラは、明確に「モチーフはワニガメ」と明言されている。