関連項目[]
- 他作品におけるガメラ怪獣も参照。
東映作品[]
水木しげる作品[]
大映特撮と水木しげるのつながりは、『大怪獣ガメラ』の大ヒットによって窮地を救われた大映が、ガメラによって得られた余力とノウハウを投入して発足させた「大魔神シリーズ」および「妖怪シリーズ」に由来する[1]。
大魔神は、シリーズ第2作目である『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』の前身の企画である『ガメラ対宇宙氷人』にてガメラの敵として構想されていた「宇宙氷人」のアイディアの流用であり、「宇宙氷人」が大魔神とバルゴンにそれぞれ分岐し、両作品は同時上映された[2]。
『妖怪百物語』『妖怪大戦争』『東海道お化け道中』からなる「妖怪シリーズ」や関連作品群は、「ガメラシリーズ」と「大魔神シリーズ」の好調によって勢いづいた大映が、水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』、楳図かずおの諸作品などによって人気が上昇しつつあった「妖怪」というコンテンツに着目して発進させた物であり、特撮技術やダイモンのデザイン、橋下力なども含めたキャスティング、黒田義之など監督をも含めた製作スタッフ、配給面などの広範囲において「ガメラ」と「大魔神」の両シリーズからの影響を強く受けている[1][3]。
- 『妖怪天国』と『さくや妖怪伝』は製作会社こそ異なるが「妖怪シリーズ」の後継作品であり[4]、平成ガメラシリーズで名を挙げた原口智生が監督を務めており、特技監督を樋口真嗣が務めたなど、平成ガメラの影響が強い。『妖怪天国』には水木しげると楳図かずおがゲスト出演しており、水木しげるは同名のエッセイ集を後に出版している。
こうして、水木しげる、楳図かずお、そして「妖怪シリーズ」などによって昭和の「第一次妖怪ブーム」が全盛期を迎え[5]、ガメラによってドル箱として確立された[6]「大映特撮」と水木しげる・楳図かずおの両者との提携が行われてきた。
- 「妖怪ブーム」自体が「第一次怪獣ブーム」のポスト的なメディア展開として推進されたという経緯があり、『ゲゲゲの鬼太郎』と『悪魔くん』に積極的に戦闘シーンが導入されたり、巨大なキャラクターが登場する様になったのは「第一次怪獣ブーム」の影響が強いとされる[7][8]。
直接的な事例[]
- 「妖怪シリーズ」における妖怪のデザインには水木しげるの影響が強く反映された[9]。
- 『妖怪百物語』および2005年版の『妖怪大戦争』の漫画化を水木しげるが担当した[10]。
- 上記の通り、『妖怪天国』には水木しげると楳図かずおがゲスト出演している。
- 角川に移行してからの作品である2005年版の『妖怪大戦争』や『妖怪大戦争 ガーディアンズ』やスピンオフ作品とも言える『虚実妖怪百物語』には水木しげる・荒俣宏・京極夏彦・宮部みゆきなどの関係者がプロデューサーや製作総指揮や原作者等として深く関わっているなど事実上の水木作品と化した。『妖怪天国』や2005年版の『妖怪大戦争』の様に、水木しげるが出演している作品も存在する。
- (小説版を含め)2005年版の『妖怪大戦争』以降は作中におけるガメラと大魔神と鬼太郎などへの直接の言及が見られる様になり、以下の様にキャラクターとしての直接の登場も果たしている。
- 『妖怪大戦争 ガーディアンズ』には大魔神が登場し、ノベライズ作品である『妖怪大戦争 ガーディアンズ 外伝 平安百鬼譚』には大魔神だけでなくガメラも登場した[11]。また、『ガメラマーチ』や『ガメラ 大怪獣空中決戦』の主題歌である『神話』の歌詞が便宜的に挿入され[12]、ガメラを称える妖怪達の描写や鵺の消息への言及の際に「夜は墓場で運動会」や「お化けは死なない」と『ゲゲゲの鬼太郎の歌』にも関連付けられている。また、これまで「妖怪シリーズ」に何度も登場してきた妖怪だけでなく、「鬼太郎ファミリー」の中で実際の伝承がある妖怪達[13]や朱の盆など[14]の妖怪もガメラと共に最終決戦に登場している[15]。
- 平成ガメラ三部作や『小さき勇者たち〜ガメラ〜』の作中にも、ダイモンなど「妖怪シリーズ」の妖怪たちの模型やイラストが小道具として登場している。
- 『虚実妖怪百物語』は、「妖怪シリーズ」と荒俣宏による「帝都物語シリーズ」をベースにした作品であり、水木しげるたちが実名でキャラクターとして登場し、上記の通り、大魔神の影響を強く受けているダイモン[1]を最大の敵の一人として描き、ガメラ・大魔神・鬼太郎・一反木綿・丸毛・つるべ火などがカメオ的な演出とは言え登場している。その際、ガメラや鬼太郎などへの言及は最終決戦に召喚された他の客演キャラクターたちと比べても比較的に多く描かれている[16][17]。
- 大魔神は、権利問題の関係からかデザインこそ変更されたものの、実写ドラマ版[8]とアニメ版の『悪魔くん』の第39話にて実名で登場しており、3期鬼太郎の第73話に登場した「埴輪武者」のデザインに影響を与えたと思わしい。
- 調布市では、ガメラ、大魔神、鬼太郎がイメージキャラクターとして共に採用されており、悪魔くんなどの他の水木しげるのキャラクターもフィーチャーされている。ガメラと鬼太郎達の展示品が並んで設置される事もある[18]。また、公式の応援キャラクターである「ガチョラ」はガメラがモデルになっている[19]。
間接的な事例[]
- 『悪魔くん』だけでなく4期鬼太郎の最初のエンディングである「カランコロンのうた」の映像中にも登場したペロリゴン(ビチゴン)のデザイン、とくに漫画版における腹部の意匠は昭和ガメラに影響を受けている可能性がある。
- 後年の実写ドラマ版などでは、ペロリゴンの腹部のデザインのみが重点的に変更されている点もこれを示唆させる。
- 上顎の口角部に特徴的な牙が一対あるのも、もしかするとガメラの影響があるのかもしれない。
- 妖怪図鑑における「キブンゴ」のデザインにもこれらの特徴が見られる。
- 逆に、平成ガメラ三部作の監督である金子修介の作品である『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』におけるバラゴンなどの護国聖獣が地蔵を破壊することで復活したり、ゴジラが体内に穴を開けられて自らの放射熱線で自滅する描写は、ペロリゴンとの類似性が強い。
- 1964年の『墓場鬼太郎』作品である1964年の「ないしょの話」にて初登場を果たした「大海獣」は、1958年の作品である『怪獣ラバン』のリメイク作品であるが[20]、『怪獣ラバン』の発行時は東宝に対しておそらくゴジラの使用権利の許可を得ていなかった[7][21]。しかし、1962年公開の大映特撮作品である『鯨神』に影響を受けたと思わしい部分が見られ、実際に作中で「大海獣」がセミクジラ然とした姿を持っていたり「鯨神」と呼ばれ[22]、『鯨神』のスチル写真を基にしたとされる構図も存在する。
- ペロリゴンと同様に、「鯨神」という呼称は『ゲゲゲの鬼太郎』になってからは使用されなくなった。
- 『ガメラ3 邪神覚醒』には、ガメラとセミクジラの親子が接近遭遇するという、『鯨神』を意識したと思わしい場面の挿入が検討されていた[23]。
- 『鯨神』の音楽面を担当した伊福部昭は「大魔神シリーズ」の映画音楽も担当しており、劇場版『ゲゲゲの鬼太郎 大海獣』も含めて4期鬼太郎の音楽を担当した和田薫は伊福部の代表的な教え子の一人である[24]。
- 『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』におけるギャオスの登場シークエンスは、『怪獣ラバン』におけるゴジラ出現の描写に非常に類似しており、『怪獣ラバン』を参考にしている可能性がある。
その他[]
- 後述の通り、『ガメラ 大怪獣空中決戦』・『小さき勇者たち〜ガメラ〜』・『デジモンテイマーズ 』・『ウルトラマンティガ』の原案になった「小中ガメラ」を執筆した小中千昭[25]も4期鬼太郎の第89話の構成を担当している。
- 水木しげるのマンモス・フラワーとコンセプトを共有する『ウルトラQ』のジュラン(マンモスフラワー)は、『ガメラ2 レギオン襲来』に登場したレギオンフラワーのモデルになっている[26]。
- ガメラの音声のエフェクトが1期鬼太郎と2期鬼太郎における野づち(第43話「ひでりがみ」)と牛鬼(第15話「牛鬼」)に流用されている。牛鬼の場合はジャイガーのエフェクトも併用されている。
楳図かずお作品[]
- 上記の通り、「妖怪シリーズ」には楳図かずおの影響もある。そして、『妖怪大戦争』の同時上映作品であり、楳図かずおが原作者である『蛇娘と白髪魔』には、他ならぬガメラシリーズの湯浅憲明が監督を務め、菊池俊輔などガメラシリーズに携わった多くのスタッフが参加している。
デジタルモンスターリーズ[]
- デジモンテイマーズ - 『ガメラ 大怪獣空中決戦』および『小さき勇者たち~GAMERA~』および『ウルトラマンティガ』の事実上の兄弟作品である[25]。
- 5期鬼太郎とデジモンクロスウォーズは、キャスティングや製作スタッフを中心に関連性が強い[28]。
- デジモンアドベンチャー - 『妖怪シリーズ』と同日封切であり、ガメラの制作陣も強く影響を受けたとされる[29]。
- ジャンボガメモン - ガメラに名前が由来している可能性がある[30]。
仮面ライダーシリーズ[]
円谷プロダクション[]
- ウルトラマンティガ - 上記の通り、事実上の兄弟作品である[25]。
- ウルトラマンマックス - 金子修介が監督を担当した第11話の本放送版のみ、冒頭部で子供たちがガメラとゴジラのソフビ人形を戦わせるシーンがある。なお、同話には藤谷文子がゲスト出演している。
- 平成以降のウルトラマン作品 - 平成ガメラ3部作の影響を強く受けていると判明している[25]。
- ウルトラマン80・ウルトラマンパワード - こちらは逆に平成ガメラ3部作に影響を与えたとされている[25]。
スタジオジブリ[]
その他[]
- うる星やつら - あたるの父が読む新聞に、ガメラが名前と共に掲載されている。また、第2話「つばめさんとペンギンさん」は金子修介が担当している。
- ケロロ軍曹 - 単行本13巻表紙や『超劇場版ケロロ軍曹 撃侵ドラゴンウォリアーズであります!』にて関連描写がされている。
- 焼きたて!!ジャぱん - 第17話にて、劇中のミドリガメパンを食したリアクションの中で、ガメラっぽい怪獣が登場、アニメでも大映の許可込みで再現されていた(当時は山崎製パンより、件のミドリガメパンも発売されている)。
ゴジラシリーズ[]
- 大映は1952年に『キング・コング』と1954年に『原子怪獣現わる』の国内配給を行っており、とくに前者のリバイバル上映は戦後の日本における初のモンスター映画の国内配給だった。大映によるこの2作品の配給が、大映自身によるガメラシリーズだけでなく、1954年の『ゴジラ』の制作にも影響を与えたと指摘されている。[31][32]
- ゴジラvsキングギドラ - ガメラの声をゴジラザウルスに流用している[33]。
- ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃 - 平成ガメラ3部作の影響を強く受けていると判明している[25]。
- シン・ゴジラ - 平成ガメラ3部作の影響を強く受けていると判明している[25]。
- ゴジラ-1.0 - 平成ガメラ3部作の影響を強く受けていると判明している[25]。
- モンスターバース - 平成ガメラ3部作の影響を強く受けていると指摘されており、金子修介自身が類似性をみとめている[34]。また、企画倒れに終わった『ガメラ 3D』が前身の企画の一つである。
脚注[]
注釈[]
出典[]
- ↑ 1.0 1.1 1.2 『甦れ!妖怪映画大集合!!』 2005年 竹書房 48頁, 116-119項, ISBN 4-8124-2265-5
- ↑ 大映『ガメラ画報 大映秘蔵映画五十五年の歩み』竹書房〈B media books special〉、1996年、ISBN 4812401666
- ↑ ガメラ画報 大映秘蔵映画五十五年の歩み, 1996年, 99項, 竹書房, ISBN 4-8124-0166-6
- ↑ 妖怪シリーズ
- ↑ なぜ10年おきに妖怪ブームがやってくるのか?
- ↑ 第一次怪獣ブーム
- ↑ 7.0 7.1 妖怪に息づく怪獣の遺伝子・前編 - 妖怪と怪獣の狭間に……
- ↑ 8.0 8.1 妖怪に息づく怪獣の遺伝子・後編 - 怪獣化する妖怪、妖怪化する怪獣
- ↑ 『ガメラ画報 大映秘蔵映画五十五年の歩み』 1996年 竹書房 104-105頁 ISBN 4-8124-0166-6
- ↑ 『甦れ!妖怪映画大集合!!』 2005年 竹書房 97頁 ISBN 4-8124-2265-5
- ↑ 妖怪大戦争ガーディアンズ外伝 平安百鬼譚 – 齢70歳の安倍晴明が登場! ラスボスとのバトルには玄武(亀)が火炎を吐き、回転しながら空を舞う…って!ガメラ登場か。
- ↑ 「子供の頃は感じていた」「目に見えないその力を」「大きな意志の力」という表現が使われている。
- ↑ 子泣き爺、砂かけ婆、一反木綿、ぬりかべ。オリジナルの妖怪である鬼太郎・目玉おやじ・ねずみ男・ねこ娘は未登場。
- ↑ 「鬼太郎シリーズ」のレギュラーではあるが「妖怪シリーズ」への登場が限定されていた。
- ↑ 265-271項
- ↑ 急, 392項
- ↑ 急, 177項
- ↑ 調布ぬくもりステーションでガメラを発見しました☆
- ↑ 「映画のまち調布」応援キャラクター
- ↑ 東考社/水木しげる「ないしょの話」
- ↑ ゴジラ映画の感想と考察。シリーズ初代の由来と1984年版とシンゴジの共通点を徹底解説|邦画特撮大全21
- ↑ 東考社/水木しげる「ないしょの話」
- ↑ 電撃ホビーマガジン編集部, 2014年, 平成ガメラ パーフェクション (DENGEKI HOBBY BOOKS), 第264項, ISBN 4048918818, KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- ↑ 伊福部昭の芸術 12 壮 生誕100周年記念・第4回 伊福部昭音楽祭ライヴ
- ↑ 25.00 25.01 25.02 25.03 25.04 25.05 25.06 25.07 25.08 25.09 電撃ホビーマガジン編集部, 2014年, 平成ガメラ パーフェクション, 75項, 80項, 87項, 159項, KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- ↑ 平成ガメラシリーズ、誕生の秘密に迫る!「特撮のDNA」展開催記念スペシャルトークライブ!!
- ↑ 石井博士, 1997年,『日本特撮・幻想映画全集』, 197頁, 勁文社
- ↑ テレビ朝日, 2010年10月2日, 「アニメ制作潜入ツアー!!「デジモン」ができるまで」
- ↑ 日経エンタテインメント!2007年1月号より
- ↑ 巨龟兽 - 数码兽数据库
- ↑ 宇井寿之、1994年1月1日、『ガメラから大魔神まで - 大映特撮映画のすべて』、63頁、近代映画社
- ↑ 野間 典和、2001年1月25日, 『ガメラ完全化読本』、145頁、パラダイム
- ↑ Wong, Kin Yuen, 2005年, World Weavers: Globalization, Science Fiction, and the Cybernetic Revolution, Hong Kong: Hong Kong University Press, 182項.
- ↑ キネマ旬報, 2014年7月下旬号, No.1666, 48項, ASIN B006CDA5BI