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大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(だいかいじゅうくうちゅうせんガメラたいギャオス)は、大映が製作し、テンプレート:和暦3月15日に公開された日本の特撮映画作品。ガメラシリーズの第三作。同時上映は『小さい逃亡者』。 総天然色、大映スコープ、87分。

あらすじ 編集

富士火山帯に属する明神礁三宅島雄山が噴火[1]。さらに富士山が噴火し、噴火の熱におびき寄せられガメラが飛来し、炎を食い始める[2]。ガメラの調査のために、取材陣や科学者を乗せたヘリコプターが飛び立ったが、二子山上空で地中から放出される緑色の光を目撃後、突如黄色い怪光線によって真っ二つにされ墜落した。

一方、東名高速道路建設予定地である二子山そばの山村[3]では、金丸村長の旗振りのもと、用地賠償金の吊り上げを狙った「反対同盟」の激しい妨害が続いており、早期決着を迫る道路公団開発局[4]との間で、工事責任者の堤主任は頭を悩ませていた。金丸村長の孫英一は二子山を遊び場にしていたが、怪光現象の取材にやってきた新聞記者に案内を乞われて共に二子山に向かい、不気味な洞窟に入ったところで突然の地震に見舞われた。英一を見捨てて逃げ出した記者は、巨大な手に掴まれ、空中高く持ちあげられる。記者の眼前に迫る、超音波怪獣ギャオスの巨大な顔。記者はギャオスに喰われてしまい、続いて英一少年が掴まえられる。二子山の怪光現象は、富士火山帯の異常活動によって目覚めた怪獣ギャオスの巣穴が放ったものだったのだ。

駆け付けた堤たち建設作業員の目の前で、今まさにギャオスに喰われそうになる絶体絶命の英一。そこへ間一髪、子供の味方の大怪獣ガメラが飛来。ギャオスは甲高く叫ぶとともに、その口から黄色い怪光線が放たれ、光線はガメラの腕を鋭く斬り裂いた[5]。調査団のヘリを切断したのはこのギャオスの超音波メスであり、彼らはすべて人喰い怪獣ギャオスに捕食されていたのだ。ガメラは英一を甲羅に乗せて脱出し、遊園地[6]で降ろしたあと、海底深くに沈んで傷の治癒に努めるのだった。

英一少年の証言によって怪獣は「ギャオス」と正式に名付けられ、その人肉を好む生態が明らかになり、ただちに防衛隊の空陸一体作戦による戦闘機攻撃が始まった。しかしギャオスの超音波メスの前に、たちまち全滅してしまう。「ギャオスはおやつ前には出てこない」との英一の言葉[7]から、夜行性のギャオスの性質が明らかとなり、堤主任の提案で強力照明弾「AGIL」が使用され、ギャオス封じ込め作戦が採られた。工事現場では作業員の離脱が相次ぎ、堤と熊、八公の三人が残るのみとなった。一方、村でもギャオスのために家畜が全滅し[8]、深刻な被害が地元を襲う。

ファイル:NagoyaCastleTower.jpg

やがて空腹となったギャオスは「AGIL」照明弾を潜り抜け、夜間東京上空へと飛来。新宿を襲い、さらに名古屋市上空へ侵入。名古屋城天守閣を超音波メスで破壊、新幹線ひかり号を襲って乗客を喰らい[9]、蹂躙の限りを尽くす。光に弱いギャオス対策のために、照明を全開にした中日球場が緊急避難所となり、不安に慄く大勢の人々[10]。そのとき、ギャオスの前に傷の癒えたガメラが飛来。名古屋上空に、激しい大怪獣空中戦が展開される。ギャオスが腹から出す黄色い消化ガスによってジェット噴射を止められたガメラは伊勢湾に落ちるが、ギャオスの脚を咥え、海に引きずり込もうとする。夜明けが近づき空が赤らみ始めると、ギャオスは頭を紫色に光らせ、にわかに苦しみ出した。ギャオスは苦し紛れに自らの足を超音波メスで切断し、二子山へと逃げ帰るのだった。

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翌朝、名古屋港に流れ着き対策本部に接収されたギャオスの片脚は、紫外線を浴びてみるみる縮んでいく。ギャオスは日光、紫外線を浴びると細胞が死滅する完全夜行性の動物だったのだ。その頃ギャオスは巣穴で、失った片足首を一晩で再生させていた。「ガメラは回転しなかったから甲羅の上でも目が回らなかった」との英一の言葉から新作戦が決定。人工血液の噴霧でギャオスをおびき寄せ、ホテルの回転展望ラウンジで目を回させ、夜明けまで足止めさせる「回転作戦」が実行された。作戦は見事成功するかに見えたが、無理な電圧に回路がショート、夜明けまであと少しの所で失敗してしまう。

一方村ではギャオス出現による高速道路ルート変更決定のために、村人たちと金丸村長の仲違いが始まった[11]。激しく責め寄る村人を泣いて追い返す英一に、金丸は欲に駆られた自らの浅ましさを恥じ、英一の言に従って持ち山に火を放ってガメラを呼び寄せることを決意する。激しい山林火災に急行し、胸から消火液を噴霧するギャオス。そのとき英一たちの目の前に、ガメラがやってくる。英一の声援を背に、ガメラとギャオスの二大怪獣の最後の戦いが始まった。

概要 編集

本作の制作当時、東宝は「世界四大モンスター」のうち、「フランケンシュタイン」、「キングコング」の二大キャラクターを自社の特撮作品の題材として映画化していた。湯浅監督らはこれに対抗して、世界市場に通用する「世界モンスター第二位」の「吸血鬼ドラキュラ」を題材に選び、その怪獣翻案として、『大怪獣空中戦 ガメラ対バンパイヤー』との企画を立てた。この吸血怪獣「バンパイヤー」が光を嫌う夜行性の吸血蝙蝠の怪獣「ギャオス」となり、本作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』として完成した。

一作目の子供を助けたシーンが好評であったため、完全に子供を対象にした最初の作品。ただし、山奥を開発する企業と土地の値上げを狙って開発を反対する山奥の村の人々のエゴが描かれる点において、前作のドラマ志向を引き継いだ面もある。通常予算の三倍の「A級予算」を組んで作られた大映ガメラ映画は、本作が最後である。名古屋近辺を舞台とするが、撮影は調布の大映東京撮影所近辺で行われ、名古屋弁を話す登場人物は一人もいない。

「英一」役の阿部尚之は、オーディションで選んだ劇団いろはの子役。よく肥えており、同じく太めだった湯浅監督によると周りから「監督の息子だろう」、「身内を主役にした」などと言われたそうである。「マイトの熊」役の丸井太郎は、本作出演の半年後に自殺している。「金丸村長」役の上田吉二郎は「怪獣を喰ってやろう」との意気込みだったそうで、湯浅監督が「今の演技、ガメラに負けてますよ」と言うと「そりゃいかん、もういっぺんやりましょう」と乗りに乗って演技をしてくれたという。

この映画においては、二大怪獣の能力の違いがはっきりしており、それが印象的に描かれ、強い緊張感を見せた。つまり、陸上戦と水中戦を得意とし、「空は飛べるものの飛ぶ以外のことは出来ない」というガメラに対して、空中戦を得意とし、「地上は不得手、水中には入れない」というギャオスと言う運動性能面の対比、また「硬い甲羅に覆われて接近戦に優れたガメラ」と、「防御力は弱いが何でも切れる遠距離武器を持つギャオス」という戦闘能力の対比が見所となっている。特に中盤の名古屋沖の戦いは絶品で、空中戦でたたき落とされたガメラに追いすがるギャオス、海上に落ちるや、接近するギャオスに噛みついて水中に引きずり込もうとするガメラに必死で逃れようとするギャオスのシーンを強く印象づけている。

本作は、「社団法人・映画輸出振興協会」による輸出映画産業振興金融措置の融資を受けて、製作された映画である[12]

『ガメラ対ギャオス』と湯浅演出 編集

前作『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』では特撮監督を務めた湯浅憲明監督は、本作では本編と特撮を兼任している。「怪獣映画が大好き」という湯浅監督は、「出来れば全編怪獣だけが出てくる映画をやりたかった」と述べているほどで、本作でも観客である子どもたちを飽きさせない、様々なアイディアを脚本の高橋二三とともに組み込み、サービス満点の「怪獣映画」に仕上げている。高橋によると東宝で「ゴジラシリーズ」を支えた本多猪四郎監督も公開当時本作を観て感激し、「素晴らしい内容だった、ぜひ一度一緒に仕事がしたい」と絶賛の手紙を送ってくれたといい、これには高橋らもゴジラに対する後発の負い目が吹き飛ぶ思いだったという。

湯浅監督によると、前作『対バルゴン』のあとスタッフで反省会があり、「怪獣が出てこないと観客の子供たちが画面に集中しない」との意見から、本作では冒頭からスピーディーにギャオス出現に繋ぐ演出となっている。また、劇中で英一少年がガメラに乗る場面での、劇場での子供達の歓声はすさまじいものだったそうで、以降の作品で、より子供の視点にあわせた作風となるきっかけとなった。ガメラが海底で傷から血を流すシーンと、囲炉裏端で英一が火傷しそうになるシーンがダブらされるが、これも湯浅監督によれば、英一とガメラの心のつながりを表現した演出だった。ギャオスが新聞記者を食べるショッキングなシーンがあるが、記者は英一を見捨てて逃げた「悪い人」として描かれており、ここはちゃんと因果応報を描くことで、子供が必要以上に怖がらないよう配慮しており、『対バルゴン』での描かれ方との違いだという。

ギャオスを始め、ガメラ映画の敵怪獣は身体に様々な武器を備えているが、これは米国のテレビ番組『スパイ大作戦』などからの影響だったといい、こうしたアイディアを凝らした怪獣同士の戦いに注力し、自衛隊の活躍場面などは意図的に短くしたという。また怪獣の描写にカットを多用し、こういったカット割りの多さが大映特撮の特徴と言われる所以であると述べている。

劇中ではギャオスの性質について、対策本部で科学者たちによる科学解説が入るが、湯浅監督は「怪獣が出現する時点で理屈ではない。怪獣映画に理屈を持ち込むべきでない」として、本来はこういったシーンは「大嫌いだ」と語っている。ギャオスが脚を再生させるシーンが対策会議の前後に挿入されるが、これも湯浅監督によると「大嫌い」な会議のシーンで間延びさせないための工夫だという。英一少年が大人たちの対策本部に割り込んでアイディアを連発するが、これも脚本家の高橋二三と「全部子供に考えさせることにしよう」と打ち合わせたもので、湯浅監督は「夢というのは無茶苦茶の中にあると思う」と語っている。

登場怪獣 編集

ガメラ 編集

詳細はガメラを参照

造型はエキスプロダクション。前作『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』の造形物の、顔つきを修正したもの。鋭かった目つきが、子供の味方らしく優しいものにされている。炎を吐くシーンの上半身のみのぬいぐるみや、ラストシーンで富士山火口を登るモーター仕掛けで手足の動くミニチュアは、第一作目で作られたものの流用。

超音波怪獣ギャオス 編集

詳細はギャオスを参照

  • 身長:65メートル
  • 翼長:172メートル
  • 体重:25トン
  • 出身地:日本列島、中部大断層地帯(フォッサマグナ)

蝙蝠をモチーフにした飛行怪獣。英一少年の「ギャーって鳴くからギャオスだよ」との言から「ギャオス」と名付けられた[13]。首の骨が音叉のように二股になっており、このため鳴き声が超音波振動を起こしレーザーメスとなるという設定。青木博士は過去にも現在にも類似した動物が存在しないため「怪獣類」に属する生物とした。

デザインは井上章、造型はエキスプロダクション。人の入るタイプのぬいぐるみが、羽根を拡げたタイプと畳んだタイプの二体造られた。鈴木昶によって目と耳に電飾が仕込まれ、体色塗装は村瀬継蔵が行っている。飛行操演用には6尺、3尺、1尺サイズのミニチュアが使われた。ポーズの違うものやパーツ別のものを合わせ、30種ほど作られたという。また、指が可動する実物大の手も造られている。制作者であるエキスプロの八木正夫は、1995年にもTVコマーシャル用に本作のギャオスを再現制作している。

ギャオスに車を両断されながらもなおもこれを走らせ、特ダネに拘る中日新報記者のギャグシーンがあるが、この「真っ二つになった自動車」は、東京モーターショーの内部展示用のものを、脚本担当の高橋二三が見つけてきて使用したもの。左右それぞれの切断車体に補助輪を付けて走らせた[14]。湯浅監督によると、あまりの記者魂に、ギャオスが「恐れ入りました」と頭を下げるシーンは公開時、劇場でも大爆笑だったという。

キャスト 編集

スタッフ 編集

―特殊技術―

主題歌 編集

エンディングテーマに使用された。バックに前二作と本作のハイライトシーンが流れるが、これは大映本社の意向だった。海外売りの際に上映時間の規定を満たすための処置で、以後の定番となった。湯浅監督は「歌にシンクロして画面が出る」というこの趣向を「のちのカラオケ方式」と評している。

映像ソフト化 編集

  • ビデオ
    • 1990年に発売。
  • レーザーディスク
    • 1995年に大映より発売。
  • DVD
    • 2001年10月11日発売の「ガメラTHE BOX(1965-1968)」に収録されており、単品版も同時発売。
    • 2006年8月31日発売の「ガメラ 生誕40周年記念Z計画 DVD-BOX」に収録されている。
    • 新しく色彩を整えたDVDは2007年10月26日発売。
  • ブルーレイディスク
    • 2009年7月24日発売の「昭和ガメラ ブルーレイBOXI」に収録されており、単品版も同時発売。

脚注 編集

  1. 明神礁噴火のニュース映像を買って使用した。
  2. 一作目の『大怪獣ガメラ』(1965年)のガメラのぬいぐるみを流用した。
  3. 丹沢でロケされた。
  4. 赤坂の宇部興産事務所ビルで撮影された。
  5. ポンプを使ってガメラの血を噴出させた。
  6. 二子玉川園でロケされた。
  7. 湯浅監督によると、「真実はすべて純粋な子供の目に映るものだ」という全シリーズ共通のメッセージだそうである。
  8. 馬牧場のシーンは聖蹟桜ヶ丘駅そばにあった牧場で撮られた。「荒木牧場」という名は、湯浅監督の師匠の島耕二監督が所有する競馬馬の、所属厩舎の名から採った
  9. ギャオスが覗く新幹線線路の土手は多摩川土手で撮影した。
  10. 実際はこのロケは当時大映系列の大毎オリオンズ本拠地の東京スタジアムで撮影されたもので、それを実際のナゴヤ球場の映像と合成されて作られていた。上を見上げる避難民は作画。グラウンドは大映撮影所である。
  11. 湯浅監督によると、大映の組合運動がモデルである。
  12. 参議院会議録情報 第063回国会 文教委員会 第4号
  13. 「ギャーって鳴くからギャオス」という思いつきは、実際は永田秀雅専務のものだった
  14. 撮影は「小金井自動車試験場」前で行われた

参考文献 編集

  • 『ファンタスティックコレクション 世紀の大怪獣ガメラ』(朝日ソノラマ)
  • 『ガメラ大怪獣図鑑』(徳間書店)
  • 『ガメラクロニクル』(ソニーマガジン)
  • 『ガメラを創った男』(アスペクト)
  • 『ガメラ画報』(竹書房)

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